欅坂46 全国ツアー『真っ白なものは汚したくなる』感想記

欅坂46全国ツアー「真っ白なものは汚したくなる」が終わり、1週間が経とうとしている。
私は8/30、千秋楽に見に行ったのだが、その夜と翌日はその余韻と喪失感に苛まれ、何事も手につかないという有様だった。
4thシングル「不協和音」の全国握手会で全国ツアーの決定を聞いた時は、まさかこんなライブになるとは想像もしていなかった。しかし、欅坂46は私達の想像を遥かに超えたライブを見せてくれた。
振り返ってみても、壮大な、素晴らしいライブだったと思う。言葉にするのは野暮だとも思うが、このまま頭の中に留めておくことも出来ず、そんなライブの感想を、ようやく冷静になった今、書いてみようと思う。

 

 

当日、開場約30分前に会場に到着した私は、ざっと祝花を見て回った後、30分程列に並び待機し、会場に入った。私の座席はG1で、決して良い席とは言えなかったものの、ライブに行けるだけでも幸せだと思い、期待に胸を膨らませながらその時を待った。暫く座席でアルバムを聴きながら待っていると(イヤホンで聴いているだけで既に感動と期待で泣きそうだった笑)、影ナレが始まった。この日は菅井友香原田葵土生瑞穂が担当し、注意事項などをアナウンス、会場を沸かせた。

そして数分後、欅坂46のライブでは恒例の「Flashlight」が流れ始め、会場は一気にヒートアップ。そして「Flashlight」が流れ終わると同時に「Overture」が流れ、会場のボルテージはMAXに。
曲と共にスクリーンにメンバーの映像が流れた後、1曲目「エキセントリック」が始まった。運営スタッフの指示通り、観客が全員ペンライトを点けずに見るそのステージはどこか幻想的で、「エキセントリック」という楽曲の世界観を肌で感じる事が出来た。
その後は「月曜日の朝、スカートを切られた」、「君をもう探さない」と新曲が続き、その次の「語るなら未来を・・・」までノンストップで続けられた。正直この流れは格好良すぎた。初っ端から欅坂の凄さをまざまざと見せつけられたパフォーマンスだった。
続いてひらがなけやきが登場。新曲の「永遠の白線」を披露した。ひらがなだけの楽曲はこのツアーで2曲しかなく、MCやメンバーのブログからも分かる様に、メンバーは自分達がこの2曲でどれだけ存在感を示せるか、どれだけ盛り上げられるかを追求してライブに臨んでいた。
その言葉通り、ひらがなのステージはとても良いものだった。「永遠の白線」もそうだが、後半の「誰よりも高く跳べ!」はライブ一番の盛り上がりを見せたと言っても過言ではない。たった2曲でこんなにも印象を残すけやき坂は純粋に凄いと思った。
そして、長濱ねるソロ曲「100年待てば」から、「AM1:27」、「バレエと少年」、「少女には戻れない」、「ここにない足跡」、「沈黙した恋人」とユニットの新曲が次々披露される。個人的には156からの五人囃子の流れ、これが最高だった。曲もさることながら、特に156のメンバーには私の推しである小池美波、原田葵、尾関梨香が含まれており、見ていてとても幸せだった。みいちゃん最高に可愛かった。
そして、このツアーを語るに当たって外せないのはやはり、今泉佑唯の復帰である。
私は8/29でのライブで今泉が復帰したことを知っていたが、やはり実際のステージで歌う今泉を見た時は本当に良かったなと心の底から思えた。4月から約4ヶ月半の休養を経た今泉は前と変わらない可憐さと、魅力的な唄声、そして大人の女性らしさを身に纏って私達の前に再び姿を見せてくれた。ずみこ、おかえりなさい。
今泉のソロ曲「夏の花は向日葵だけじゃない」が終わった後は、「東京タワーはどこから見える」、「誰よりも高く跳べ!」、「世界には愛しかない」、「危なっかしい計画」、「太陽は見上げる人を選ばない」と続いた。ライブも終盤、メンバーにも疲れが出ていたはずだが、そこでこんなにも盛り上げられるのかという程のパワー。本当に楽しい時間を過ごした。
ここで公演は一旦終わり、アンコールが始まった。



アンコールを受け登場したメンバーが披露したのは「サイレントマジョリティー」。デビュー時から共に歩んできた欅坂46の代名詞とも言えるこの曲は月日を重ねる毎に完成度を増し、一際輝いていた。そして「二人セゾン」。ダンスと歌詞が儚く美しい。思わず見惚れてしまった。
次の曲に入るまでのMCでは、キャプテン菅井友香らが感想を語った。菅井の言葉は今まで以上にキャプテンらしく、思いが詰まっていたし、欅坂のこれからの可能性をより感じる事が出来た。
最後は勿論「W-KEYAKIZAKAの詩」。緑一色が会場を包む。この曲は本当に歌詞も曲も素晴らしいし、欅&けやき坂組が集合した32人でのステージを見ていると、本当にこのグループのファンで良かったと心の底から思えた。
アンコールはここで終了。しかし会場内の興奮は冷めやらず、Wアンコールが始まった。

 


そして始まったWアンコール。ここに今回の全国ツアーの全てが込められていた気がする。
たった1人で登場した平手友梨奈はフードを深く被り、俯き、ギターを掻き鳴らしていた。
暫く、誰がステージに現れたのか分からなかったが、スクリーンに映し出され、フードを外した人物が平手だと分かり、観客達も熱狂の声を上げた。
そして平手はアルバムの新曲であり、ツアーでは初めて披露するソロ曲「自分の棺」を歌い上げた。
曲が終わり暗転し、再び明転した時、ステージには白い布を奪い合うメンバーの姿があった。各々がそれぞれの表情で布を引き裂いていく。特にスクリーンに映し出された佐藤詩織の憎悪とも悲哀とも取れる表情が印象的だった。そして、灰を掛け合うメンバー達。この布は遺体に被せる白布を、灰は火葬後の遺灰を表しているのだろうか。彼女達は死を怖れ、抗っている様でもあり、死を受け入れ、打ち克とうとしている様でもあった。
終盤平手はステージ中央へ移動するが、布を手に立ち尽くしていると、何者かによって撃たれ、血を流して倒れてしまう。
そして遂に「不協和音」のイントロが流れる。雄叫びとも悲鳴とも取れる観客達の声を受けながら曲は始まった。
一度撃たれ、倒れた平手だったが、曲が始まると同時に立ち上がり、拳を突き出す。そこには、まるで死すらも超越したかの様な、完全復活を果たした平手の姿があった。
「不協和音」で蘇った平手は今迄私が見た中で一番力強く、恐ろしく、美しかった。
そして、最後のサビ終わりに見せた平手の狂気に満ちた笑み。あれは見る人全てを惹きつけ、震わせ、平手友梨奈が天才であるという事を再認識させた筈だ。
「不協和音」を歌い終えた後、既にメンバーの姿はそこには無かった。楽曲の中で全てを伝え、後は何も語らないという姿勢は流石欅坂だという風に感じられた。


これまでの平手のツアーでの体調不良、フェスでの様子、それら全てが今回の為の伏線、布石だったのだという錯覚に陥る程彼女のパフォーマンスは完璧だった。
確かに実際にはそんな風には考えにくい。
しかし、それが偶然だろうと運命だろうと欅坂46はやはり奇跡のグループなのだと思う。
ライブ中、まるで劇を、舞台を観ている様な感覚に陥った場面がいくつもあった。演出や構成も勿論、ストーリー性のあるグループである欅坂だからこそ生まれたものなのだろう。
これからの展開にも期待だ。2017年は欅坂46にとって大きな意味を持つ年になると思う。1stアルバム発売、初の全国ツアー、けやき坂メンバー増員これら全てが今後の欅坂46をより大きくする事に疑いの余地は無い。全国ツアーで更なる絆を築いたメンバー達に登れない坂は無いだろう。

最早現在、私が心から満足でき、興奮するライブは欅坂46以外に無い。

 

 

P.S.この文章を書き終える数時間前に齋藤冬優花のブログが更新された。メンバーの一人一人に向けたメッセージを読んで思わず泣きそうになった。欅坂は欅坂で、やはりとてつもない量の努力と苦悩をしているし辛い思いも沢山してきたのだ。齋藤は「達成感は、あまりない」と記していて、私は複雑な気持ちになったが、ふーちゃん、最終日を見た僕の眼にはきらきら輝いた欅坂が映ってたよ!ツアーは6カ所で11公演行われ、見に行った観客は何万人、その日、その人によって感じることはそれぞれ違うけれども、私はそういう風に感じた。